38歳で結婚した鹿(渡邊)奈緒(わた)さんが出産と子育てを語る いまトップ選手に伝えたいメッセージとは【後編】

LIFESTYLE

日本代表やクラブチームでトップ選手として活躍されたわたさんが考える結婚や出産とラクロス、子育てについて伺いました。

前編はこちら

ラクロスの経歴
1999年~ 日本体育大学ラクロス部に所属
2003年~ 社会人ラクロスチーム「Sibylla(シビュラ)」に入部。
2005年、2009年、2013年:ワールドカップ出場
2014年~ 社会人ラクロスチーム「CHEL」に移籍。
2018年~ Sibyllaに再度所属。
2018年のリーグ戦を最後にラクロスは休止中。

――35歳以上で初産を迎える高年初産婦にあたるかと思いますが、その分気を付けていたことや大変だったこと、出産時の忘れられないエピソードなどあれば教えてください。

昔から子供は大好きで自分もいつか欲しいとは思っていましたが、結婚した時点で38歳だったので、旦那さんも私も、「何としても子供が欲しい!」というスタンスではなく「子供は欲しいけど、難しければ二人でもいっか」という気楽な気持ちでいました。幸いにもすぐに授かることが出来て、いまでも奇跡的だと思っています。

妊娠したあとは特に何かしていたわけではなく、一般的に妊婦さんが気を付けなければいけないことを気を付けていましたね。

私の周りのラクロス仲間は年齢に関係なく、難産率がとても高いんです。なかなか子宮口が開かず(一般的に高年初産婦は子宮口が硬くなり難産になりやすいと言われています)、何時間も苦しんだ話しか聞いていなかったので私も覚悟をしていましたが、想像をはるかに越える難産となりました。

46時間陣痛で苦しんだ後に帝王切開となり、痛みのフルコースを味わいました。産院内ではとても大変すぎるお産をした人ということで伝説っぽくなっていたのですが(笑)、日本代表の時の先輩も社会人チームの同期も後輩も、私の周りのラクロッサーにはこのフルコースの人がたくさんいるんです!

お医者さんも助産師さんも筋肉は関係ないと言っていましたが、絶対にラクロスで行う何かの動きかラクロスで付く筋肉が子宮口が開かない原因なんだと、科学的な根拠はないものの勝手に確信しています(笑)。そして、自分的にはもう何回も死にそうになってて、何回も限界を迎えているのに、体力があるのか「母子共に元気で問題ありません」って言われるんです(笑)。

もちろん、ラクロッサーの中にも安産の人はたくさんいると思います。でも難産率が本当に高いので、ラクロッサーの皆さん!覚悟しておきましょう。

ちなみに、安産にいいといわれることは全てやりました。毎日歩いたり、雑巾がけしたり、スクワットしたり、子宮口が柔らかくなるというハーブティーを飲んだり、マタニティビクスしたり……。全部意味がなかったのか、これらをやったから46時間で済んだのか、真相は謎ですが、無事に産まれてきてくれたのですべてOKということにしました!

――子どもが生まれる前とあとで自分自身が変わったなと思う部分はありますか?

変わったと感じるところはあまりないかなと思います。物理的なことは変わらざるを得ないので変わりましたが、私自身は今までと何も変わっていない気がします。ただ、自分の子供ってこんなに可愛いいんだって、今まで味わったことのない種類の感情にびっくりしました。

――1日のスケジュールや楽しみはなにかなど、いまのわたさんの生活について教えてください。

7月まで育休を取らせてもらっていましたが(コロナの影響で復職が2か月遅れました)、8月から復職しました。今は時短勤務で働いています。

<とある平日の1日>

・起床後ムスメの朝食準備(私)、食べさせる(旦那さん)

・朝食の間に自分の準備をする

・出発までの間、子供と遊ぶ

・着替え、保育園に預けて出勤する

・退勤後保育園へお迎え

・帰宅後お風呂に入れておんぶで夕寝(1時間程度)

・夕寝の間に夕食準備、洗濯、翌日の保育園準備を済ませる(済ませたい!笑)

・ムスメに夕食を食べさせる(自分は準備しながら立ち食いが多いです)

・旦那さんの夕食を並べる

・寝かしつけ(翌日の準備や洗濯が終わっていない場合は戻って終わらせる。またはビールを飲んだりドラマを見たりする)疲れていたらそのまま一緒に寝ちゃう日もあります。

とにかく、帰宅後から寝かしつけるまでが忙しい。寝かしつけ時間のタイムリミットがあるので毎日バタバタしています。帰宅してから寝かしつけるまでは、1度もゆっくり休む時間はないですね。

――ラクロスと子育て、どちらが大変ですか?理由も含めて教えてください。

どっちも大変じゃない!けどどっちもそれなりに大変なことはある!という感じです(笑)。

ラクロスは自分で決めてやるもので、大変さの調整ができますが、子育ては成長によって日々変化する大変さに対応するのが大変かなと感じています。まとめると、どっちもすごく楽しいです!

残念ながら、ラクロスの経験が子育てに活きているところはまだ経験していませんがしいて言えば、重くなるムスメを持ち上げる時に腰を痛めないように股関節から曲げようって思ったりするくらいでしょうか。といっても2回ぎっくり腰になりましたが……。

――結婚生活や子育てでわたさんが大切にしていることはありますか?

結婚生活は、基本的に毎日楽しく!相手を思いやる!でしょうか。子育ては、ムスメはまだ1歳になったばかりで、子育てというレベルではなくお世話しかしていないので偉そうなことは言えませんが、現段階では、イタズラなど何でも好きなようにやらせてあげることを心掛けています。あとは、体幹が強くなるように、ハイハイできるスペースを広く確保していました(笑)。休みの日は、なるべく公園に連れて行って思いっきり遊んでもらえるようにしています。

これから、母親として何があっても常に笑っていたい、毎日楽しいって思ってもらいたいなと思っています。

――2005年~2013年まで日本代表として3回のワールドカップに出場したわたさんが、35歳を過ぎて結婚から出産を経験されたのは、今まで「結婚かラクロスかを選ばないといけない」と考えがちだった多くのトップ選手にとって新たな選択肢になったと思います。今のトップ選手に伝えたいことはありますか?

「もういいかなと思うまで大好きなラクロスを本気で続けていいんだよ」と伝えたいです。

正直、女性は出産を考えると、年齢のタイムリミットがあるとも思うので一概には言えませんが、何歳までに結婚しなきゃとか年齢にとらわれることなく、自分がどうしたいか、やり残したことはないか、ラクロスに限らず思う存分自分のやりたいように人生を楽しんでもらいたいと思います。結婚するかしないかではなく、とにかく自分が一番楽しく幸せでいられる環境や時間を選択して、それを大切にしてほしいです。若いころは当たり前だと思っていた、毎週末仲間と大笑いして過ごす時間は間違いなく期限つきです。

――いまは子育てに忙しいと思いますが、いつかラクロスに復帰したいというお考えはありますか?

最近ラクロスしたいなーと思うようになりました。出産後は、育児に追われてラクロスする余裕なんてない!出産後もラクロスしている人はすごいなと思っていましたが、最近はそろそろ運動したいな、ちょっとラクロスもやりたいなと感じるようになりました。勝つために頑張るラクロスではなく、楽しめるラクロスができたらいいなと思っています。

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