出産から半年でプレーヤーに復帰! 佐野(永井)李佳さんが子育てと社会人ラクロス両立の裏側を語る【後編】

LIFESTYLE

 

社会人ラクロスクラブチーム「ORCADEA(オルカディア)」創設メンバーや学生ラクロスのコーチとして、およそ13年にわたって活躍を続ける佐野(永井)李佳さんに、ラクロスとライフスタイルの変化について伺いました。
後編では、お子さんが生まれてからの生活やラクロスとの両立がテーマです。(前編はこちら
ラクロス経歴とライフイベント
・2004年~2008年:東洋英和女学院大学ラクロス部所属(大学3~4年時:桐蔭学園高校ラクロス部のコーチ)
・2008年:大学卒業後、クラブチーム「ORCADEA(オルカディア)」立ち上げ。
プレーヤーとして日本代表に選抜。
・2008年~2012年:東洋英和女学院大学のコーチ
・2013年~現在:駒沢女子大学のコーチ。オルカディアの練習で駒沢女子のグラウンドを借りていることがきっかけ。当時駒沢女子大学は4部だったが2018年に3部昇格。地区別ユースのコーチも経験。
・2016年:入籍
・2019年6月:女の子を出産

――旦那さんもラクロッサーだと伺いました。パートナーがラクロッサーでよかったなと思うことはありますか?

旦那さんは専修大学のOBで、今も大学のコーチをしていたり、ラクロス協会のティーンズ(小中高)の普及部でも活動しています。オルカディアのメンバーと行った合コンですぐに意気投合し、1年後には入籍しました。

私の生活は、仕事以外ほぼラクロスなので、それを理解できる人はなかなかいません。産休に入ってからは平日毎日コーチに行っていたので、旦那さんより朝早く家を出て運転していったり、予定日を過ぎたあとも行っていました。普通だったら行くのやめなよ、となるかもしれないですが、やはり理解度がぜんぜん違う。とても理解してくれました。

ラクロスの動画を一緒に観ることもありますし、ラクロスの悩みを話せるのはとても楽です。旦那さんが行っているティーンズの普及部のイベントで一緒にコーチをしたり。こんな生活は、いまの旦那さんでなければできなかったと思います。喧嘩もしないですよ。旦那さんがスーパー優しいんです(笑)。

――出産後にプレーヤーとしてオルカディアに戻られましたが、最初から復帰することは決めていたのですか?

2019年6月末に出産したのですが、産後1か月後くらいにはコーチとして合宿にいくために出歩いてました。3ヵ月後くらいにシュートを初めて打ち、オルカに戻ったのは12月ごろです。

出産前とまったく同じことはできないですが、コーチをやるなかで動けるイメージはしていたので自分の中ではブランクを感じていないですね。ラクロスから離れたのは出産当日くらいで、それ以外は動画をみたりクロスを触ったりしていたので、完全には離れていなかったからだと思います。

最初はプレーヤーとして戻らないつもりだったのですが、少しずつ頑張ればプレーできるようになるかも…!と考えるようになりました。旦那さんが最新のクロスを買ってくれたのも、やって良いよってことかなと思えましたし、なによりプレーしている自分が好きで、その時間が大切なのかもしれません。

実際に復帰してみると、いまは授乳はなくなりましたが、睡眠時間があまりとれず24時間ずっと起きている気がします。自分の時間だけでラクロスをしているわけではないから、とくに仕事が忙しいとあまり寝れず……。体力面はまだまだこれから戻していかなければいけないと感じています。

ラクロスをするために、子守を旦那さんにお願いすることが多いのですが、ラクロッサー夫婦やラクロスでコーチをしながら子育てをする人に伝えたいのは、ラクロスをやりたいのであればなおさら最初から子育てを一緒にやるべき!ということです。

パパができることが増えればそれが自分の役割にもなるからパパも楽しくなりますが、たまにだとママのお手伝いになっちゃうんですよね。最初は慣れないかもしれないけど、パパがひとりで子どもをみるような時間を作ったり、がんばってやり切れば子どもも慣れていきます。実際に、パパの方が寝かしつけが上手なときもありましたよ。子育てのなかでパパの得意なものをつくることはとても大事だと思います。今はすっかりパパっ子です(笑)とはいえ、面倒をみてくれる環境、旦那さんに感謝の気持ちを持つことが一番大切です!

ちなみに私のイチオシ子育てグッズは、SEASTARの電動鼻水吸引器です。娘が風邪をひいて鼻水が出ることがあるのですが、手動や持ち運びができる簡易的なものではなかなか吸えず…。夜に鼻が詰まると何回も起きてしまうので、これがあるととても便利です!

――今年の4月から職場復帰もされていますが、復帰前にイメージしていたこととギャップはありましたか?

4月中旬に復帰したころは保育園の送り迎えが間に合わないため時短にしていましたが、途中から在宅になったのでフルタイムに切り替えました。

仕事では復帰早々さまざまなことを任せてもらったたり、自分に求められていることがあまり変わっていなかったので、スムーズに戻ることができましたね。

在宅で子どもがいるときは寝かしつけをしたり、ご飯を食べさせたりするので、パソコンを開いて仕事をすることがなかなかできません。仕事を始めたことで、これまでずっと一緒に遊んでいたのに…と娘がストレスを感じていたようで、やたら甘えん坊になったり夜寝なかったりしたこともありました。子どもと一緒にいるときはパソコンを見ないようにして、その状況を会社にも理解してもらいました。旦那さんもほとんど在宅なので、お互い会議じゃない方が子どもを見るようにしています。

――学生ラクロッサーへメッセージをお願いします。

学生に伝えたいのは、コロナの影響で今年は昇格・降格がなくなりモチベーションが下がっている人が多いという話を聞くのですが、昇格するかどうかって、私のなかでどこまで重要ではなかったんですよね。覚えていることは「大変だったけど乗り越えたな」、「みんなと頑張ったな」という記憶なんですよね。

私は学生時代、1部との入れ替え戦でサドンデスの末に負けてしまい4年間を終えたのですが、負けたことで泣いている人はチームで誰もいなかった。そのときに「ここまで頑張ったら結果はそこまで大切じゃないんだな」と実感しました。もちろん結果を求めて頑張るから楽しいというのはありますが、大切なのはそれまでの過程です。昇格ができないから今年は諦めるのはあまりにもったいない。この状況でも、何かしらの目標や目的をおいてそれに向かって頑張るという経験は、いつか必ずパワーになるはずです。

――最後に、りかさんのラクロスの目標を教えてください。

なにごとも後退はしたくないんですよね。今の状況でいえば、自分の体は全盛期よりも衰えてはいるけれど、その分ほかでカバーしていきたいです。パスを前よりもうまくなるとか(笑)。いちばんの目標は、昨年の自分を超えることです!

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